【相続】における遺産分割の方法とは?行政書士による解説

遺産分割における財産の分け方とは?

相続が発生した際、相続財産の分割方法は遺産分割協議を通じて決定します。しかし、財産の種類によっては物理的な分割が難しい場合もあり、それぞれに応じた工夫が必要です。この記事では、物理的に分割できるものとできないもの、その対処法について考えてみます。

目次

物理的に分割できる財産とは

相続財産の中には、分割が容易なものがあります。たとえば、以下のような財産です。

  • 現金や預貯金
    銀行口座から引き出し、相続人間で按分することが可能です。
  • 株式や投資信託
    銘柄ごとや単元株単位で分割できる場合があります。ただし、一部の証券は分割後の管理が煩雑になることもあるため、注意が必要です。

このような財産は相続人間で比較的簡単に調整できるため、遺産分割協議がスムーズに進むケースが多いです。

物理的に分割が難しい財産とは

一方で、次のような財産は物理的に分割することが困難です。

  • 不動産(自宅や土地など)
    建物や土地は物理的に分けることが難しいため、共有名義にするか売却して現金化する必要があることが多いです。
  • 動産(車や貴金属、美術品など)
    高額な車両や貴重な美術品は、分割すると価値が大きく損なわれる可能性があります。
  • 事業用資産
    家業を営んでいる場合、その事業の運営を継続するためには、特定の相続人が事業用資産を一括して承継することが求められる場合があります。

分割が難しい場合の解決策

物理的に分割が難しい財産については、以下の方法で対応します。

  1. 代償分割
    特定の相続人が財産を単独で取得し、他の相続人に対してその代償として現金や他の財産を支払う方法です。不動産を取得した場合によく用いられます。
  2. 共有分割
    財産を相続人全員の共有とする方法です。ただし、共有名義は管理が複雑になることが多く、後のトラブルの原因になる場合もあるため、慎重な判断が必要です。
  3. 換価分割
    財産を売却し、その代金を分割する方法です。不動産や高額な動産について適用されるケースが多いです。

相続財産の活用方法

特に、相続した財産が遊休状態になる場合は、活用方法を検討することが重要です。

  • 不動産の場合
    宅地や田畑等の土地や住居・空き家等の建物は、賃貸物件として貸し出す、駐車場として活用する、または農地として貸付けるなどの方法が考えられます。ただし、田畑については農地法に基づく許可が必要な場合があるため、専門家への相談が欠かせません。
  • 動産の場合
    美術品や骨董品などは、適切な市場で売却することで現金化する方法が一般的です。また、一部の財産については寄付という選択肢もあります。

田畑の取り扱いについて

相続財産として田畑が含まれる場合、活用には注意が必要です。農地法により、以下のような制限があります。

  • 農地として継続利用
    相続人の中で農業を継ぐ意思がある場合は、そのまま使用を継続することが可能です。
  • 転用または売却
    農地を宅地や駐車場に転用する場合は、事前に農地法の許可を得る必要があります。また、売却を希望する場合も、購入者が農業委員会の許可を得る必要がある場合があります。

田畑は放置すると耕作放棄地となり、固定資産税の負担だけが増えるリスクがあるため早めの対応が望まれます。関連コラムがありますので、参考までにご一読ください。

まとめ

相続財産の分割や活用方法は、財産の種類や相続人の意向によって異なります。特に、不動産や田畑などの分割が難しい財産については、専門家の助言を得ながら慎重に進めることが重要です。
適切な分割方法を選ぶことで、相続人全員が納得できる解決を図り、次世代に向けた財産の活用を実現しましょう。

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この記事を書いた人

Kentaro Oikawaのアバター Kentaro Oikawa 行政書士

K-TEC行政書士事務所 行政書士 及川憲太郎
K-TEC→ケーテックと読みます。事務所名は前職の屋号から
2024年に行政書士登録
行政書士として日々の業務に取り組む傍ら、コラムでは皆さまに役立つ情報を発信しています。どんなことでも気軽にお読みください!

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