【相続放棄】の手続きとは?宮城県で相続の不安を抱える方へ、富谷市の行政書士が解説

~相続するか迷っているあなたに知っておいてほしいこと~

大切なご家族が亡くなったあと、思いもよらず借金や使い道のない不動産などの【負の遺産】が見つかることがあります。こうした場合に選択肢となるのが【相続放棄】です。

この記事では、相続放棄とはどういう手続きか、誰がどのように行うのか、どんな準備が必要なのかについて、専門用語をなるべく使わずにわかりやすく説明します。また、行政書士にご相談いただける内容と、他の専門家と連携すべきケースの違いについても触れています。

富谷市や仙台市周辺にお住まいの方にとって身近な問題である「相続」。ぜひ最後までお読みいただき、判断の参考にしてみてください。

目次

相続放棄とは?

相続放棄とは、「プラスの財産もマイナスの財産(借金など)も一切相続しない」という手続きです。これにより、最初から相続人ではなかったとみなされます(民法第939条)。

手続きは家庭裁判所で行い、「被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内」に申立てる必要があります(民法第915条)。

よくある相続放棄の理由:

  • 借金が多く、相続したくない
  • 価値のない不動産(空き家・山林など)を引き継ぎたくない
  • 他の相続人と関わりたくない
  • 面倒な手続きや費用を避けたい

相続人の順位と代襲相続

相続放棄を検討する前提として、「自分がそもそも相続人であるのか」を知る必要があります。

相続人の順位

民法では相続人の順位と範囲が定められています。被相続人の配偶者は常に相続人になりますが、その他の親族(子、親、兄弟姉妹など)は、配偶者とともに、順位に応じて相続人となります。

  • 配偶者:常に相続人(他の相続人と共に相続)
  • 第一順位:子(子が死亡している場合は孫が代襲相続)
  • 第二順位:直系尊属(父母、祖父母など)
  • 第三順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合は甥・姪が代襲相続)

たとえば、被相続人に配偶者と子がいる場合、相続人は配偶者と子になります。子がいなければ、配偶者と親(または祖父母)が相続人となります。子も親もいなければ、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。

【代襲相続】

本来の相続人が先に亡くなっている場合は、その直系の子が代わりに相続人になります。これは第一順位(子)と第三順位(兄弟姉妹)のみに適用されます。

この順位や代襲関係が複雑な場合、戸籍調査だけではなく、相続関係説明図の作成が必要になります。行政書士はこうした相続関係の調査や図の作成に対応しています。

相続放棄の主な流れ

相続放棄をするためには、まず「誰が相続人か」を確かめ、そのうえで「どんな財産があるか(あるいは借金があるか)」を調べる必要があります。以下のような手順を踏むことになります:

  1. 相続人の調査・確定(戸籍の取得)
  2. 相続財産の調査(通帳、不動産登記、借金の有無など)
  3. 相続放棄に関する書類を家庭裁判所に提出
  4. 裁判所から「相続放棄が受理された」旨の通知を受け取る

相続人の調査は、被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍などを網羅的に取り寄せる必要があります。また、財産の調査も、預貯金、不動産、負債など広範囲に及びます。

行政書士にできること・できないこと

行政書士は、戸籍をもとに相続人を調べたり、相続に関する書類を整える専門家です。ただし、家庭裁判所に提出する申述書の代理作成や、法律的なアドバイスは行えません。ここでは行政書士が関われる内容を整理しておきます。

行政書士にできること(行政書士法に基づく業務)

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍一式の取得
  • 相続関係説明図の作成(家系図のような図)
  • 相続財産に関する資料の整理や調査支援
  • 相続放棄に必要な書類の案内(様式、添付書類、提出先など)
  • 手続きの期限や流れに関する一般的な説明
  • 司法書士・弁護士へのご紹介

行政書士にできないこと

  • 相続放棄申述書の記載代行
  • 家庭裁判所への提出の代行
  • 放棄すべきかどうかの判断や助言(これは法律相談となるため弁護士の業務です)
  • 申述書の内容に対する具体的な記載指導

これらの行為は、弁護士法や司法書士法で制限されており、違反すると処罰の対象になります。

他の専門家との違いと役割

弁護士との違い(弁護士法第72条)

弁護士は、相続放棄すべきかどうかという判断について法律的なアドバイスを行うことができます。たとえば「このケースで放棄すると他にどんな影響があるか?」など、判断を伴う相談ができるのは弁護士だけです。

弁護士でない者は、報酬を得る目的で、法律事務を取り扱ってはならない(弁護士法第72条)

行政書士は、このような法律判断は行いません。判断が必要な場合には、弁護士をご案内いたします。

司法書士との違い(司法書士法第3条)

司法書士は、家庭裁判所に提出する申述書の作成を「代理」で行うことができます。 また、不動産の名義変更(登記)も担当できるため、相続放棄後の不動産の扱いに関する業務は司法書士の専門分野です。

司法書士は裁判所等に提出する書類の作成を業とできる(司法書士法第3条第1項第5号)

行政書士は、あくまで「申述書の一般的な様式や提出先、添付書類」について案内するまでにとどまり、代理作成や具体的な記載内容への踏み込みはできません。

富谷市・仙台圏での相続放棄に関する傾向

都市部に住むご家族が、富谷市や仙台近郊にある実家や山林を相続したくないという相談が増えています。 不動産の売却が難しい、維持管理ができない、空き家対策の費用負担が重い——といった理由から、放棄を検討する方が多くなっています。

こうしたケースでは、まず「本当に相続人なのか」「どのような財産があるのか」を調べることが必要です。行政書士はこの段階での支援に強みがあります。

社会背景と相続放棄の増加

少子高齢化や地方の過疎化が進む中で、相続放棄の件数は全国的に増加傾向にあります。特に、相続しても経済的メリットが乏しい空き家や山林、農地などを抱えるケースが顕著です。

かつては家や土地を「資産」として捉える時代が長く続きましたが、現在では「負動産」として処理される場面も多く、こうした財産の扱いが問題になっています。

相続人かわからない方へ

「突然、連絡が来て相続放棄の期限が迫っている」「知らない親族の相続人になっていた」というご相談も増えています。

まずは、自分が本当に相続人であるかどうか、その順位はどうなっているのか、そして相続財産はどんなものがあるのかを調べることが第一歩です。

まとめ

相続放棄は、限られた期間のなかで正確に判断しなければならない大切な手続きです。

行政書士としては、相続人の調査・財産の調査・必要書類のご案内などを通じて、落ち着いて判断できる環境づくりのお手伝いをしています。

判断そのものに迷いがある場合や、手続きが複雑になりそうな場合は、信頼できる弁護士や司法書士をご案内いたします。

富谷市やその周辺で相続にお困りの方は、ご自身で判断する前に一度、必要な情報を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

Kentaro Oikawaのアバター Kentaro Oikawa 行政書士

K-TEC行政書士事務所 行政書士 及川憲太郎
K-TEC→ケーテックと読みます。事務所名は前職の屋号から
2024年に行政書士登録
行政書士として日々の業務に取り組む傍ら、コラムでは皆さまに役立つ情報を発信しています。どんなことでも気軽にお読みください!

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